かけだし大学経営者のためのブックガイド

すべての大学経営者に贈る、ニッチすぎるブックガイド。

高野篤子『イギリス大学経営人材の養成』(東信堂)

本作『イギリス大学経営人材の養成』(東信堂)が世に出たとき、前作『アメリカ大学管理運営職の養成』(東信堂)と同じ方法論を英語圏の大学に当てはめれば、いくらでも論文が書けてしまうのだということに気づかされました。鉱脈を掘り当てたとはこういう…

上山隆大『アカデミック・キャピタリズムを超えて―アメリカの大学と科学研究の現在』(NTT出版)

谷崎のあとに谷崎なく、太宰のあとに太宰なし。何物にも似ていないことが卓越性の証明になるのであれば、少なくとも私にとって『アカデミック・キャピタリズムを超えて』は一つの達成だ。寡聞にして、私はこれに似た議論を目にしたことがない。 この本を読む…

師岡幸夫『神田鶴八鮨ばなし』(新潮文庫)

大学職員は寿司職人に似ている。 独立にあたって親方から言われたことは、「鮨は誰もが握れて、それなりに上達できる。しかし、それだけでは駄目だ。人間としても成長していかなければ意味がない」と。 誰でもそれなりにやっていけるかもしれない。しかし、…

喜多村和之『大学淘汰の時代―消費社会の高等教育』(中公新書)

上げ止まった18歳人口が緩やかな下降カーブを描き始めた1992年の2年前、1990年にこの本は世に出た。読みどころは何と言っても、青年人口の減少に直面した1980年代のアメリカと中世のボローニャを結びつけて、高等教育の歴史に大きな補助線を引いてみせたとこ…

喜多村和之『学生消費者の時代』(玉川大学出版部)

私が敬愛する喜多村和之さんの本から始めてみたい。 今日アメリカの大学の収入源のなかで、政府の援助や公費ではなく、私的財源に基づく寄付金の占める比率は四・八%(一九八〇−八一年度)と、金額的には大きいものではない。 隔世の念を禁じえなかった。 …